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● Report No009 / 08月31日

自己組織化膜(SAM)

チオールは、金(Gold)膜の表面で自己組織化膜を形成する。 それを利用してチオールをインクとして使い、印(スタンプ)に原形から型取りしたシリコンゴム型を用い、蒸着金膜にスタンピングを行なう(マイクロコンタクトプリント)と、レジスト剤として作用させることが出来る。 利用のメリットとして、
(1) ポリマー、金属、セラミックなどの表面にマイクロパターンの形成が容易に得られる
(2)原形さえあれば、非フォトリングラフの工程で済む
(3) ナノレベルも可能である など挙げられ、利用範囲は広い。
その上、設備投資も極めて低く押さえられるのも魅力である。

マイクロ(μ)パターン寸考

IC、LSIは、マイクロパターンから成る材料である。この様なエレクトロニクス以外の分野でも、今後マイクロパターンの重要性は増えて行くだろう。 例えば、親水性領域面上に疎水性材料によってパターン構成を施し、この表面エネルギーの差を利用して機能性物質の付着を計る方法がある。具体的には、ドットアレー状親水性スポットにアクリル系UV硬化性レジンをマウント(盛りつけ)すればマイクロレンズアレーが形成出来るし、DNAを含む電気泳動液を付着させれば、DNAケミカルチップが得られる。 光学・バイオの分野におけるマイクロパターンの重要度は増すばかりだろう。

 

● Report No008 / 8月25日

傾斜材

 傾斜材という材料概念は日本より発した独創で、国としての重要研究テーマになっている。例えば、一枚の板で片面が金属、反対側がセラミックで、厚み方向でその成分比が傾斜的になっているものだ。当然、一つの物件が面位置により、異なる特徴を示すので材料としては極めて魅力的と言える。 30年も前にポリマー含浸布の試作で、均一含浸を狙ったにも関わらず、厚さ方向で中心部30%表層部60%の含浸度できれいな(?)傾斜カーブを示していたが、目的から外れていたのでボツ実験例としてしまった。この様に一面では失敗でも他面では意味のあるケースは多々ある。 “射出成型で傾斜材を作るには……”などは頭の運動的テーマとして面白いでしょう。

千変万化

 モノマーという兵士が何万人と両手をつないだのがポリマー。兵士が小隊を組んだのがオリゴマー、大隊を組んだのがプレポリマー。 兵士一人一人は炭素(C)を骨核として水素(H)・酸素(O)を伴っており、窒素(N)やリン(P)・ハロゲン(F, CL, Br)を組み込んだものもある。これらの元素を巧妙に組み合わせて種々の兵士を造り、 更に量物兵士の組み合わせにより、多様なポリマーを合成することが出来る。化かすから「化学」。骨核の炭素(C)をシリコン(Si)に置き換えたのがシリコン樹脂。骨核が変わると特性が大幅に化ける。千変万化。人類は未だ九変程度に手がついたところか。残り(?)は山程ある。楽しみは多いほど良い。

 

● Report No007 / 08月08日

無公害プロセスとしての金(Au)エッチング剤

 Au配線・電極形成の際、蒸着Au膜のエッチング剤として、毒性のあるシアン系化合物が一般的には用いられているが、同様の作用を期待できるものとして、家庭用薬品として知られるヨードチンキ(I2+アルコール+α)が挙げられる。ヨードチンキを利用することによって、
1. 廃液処理システムが極めて簡便になる
2. 小部屋でもパーツの量産が出来る
3. 少量多種の発注にも対応出来る
などの利点が生まれてくる。 また、SAMプロセスと組み合わせることで、機能性マイクロパーツ製造の商業化が図られる。

熱伝導

 昨今、小型の電気電子機器の熱放射の必要度が高まって来ており、熱伝導性材料、モジュール、設計構造等、開発が活発になされている。材料的には金属はアルミニウム、銅、セラミックではアルミナ、窒化硼素(チッカホーン)等がよく知られている。最近めざましい発展を遂げている炭素材も注目に値する。ダイヤモンド薄膜も先端の一つであろう。また、ある種の炭素繊維をエポキシ(可燃性)で結束したCFRPは燃焼テストによると「不燃性」と評価された。すなわち、あまりにも熱伝導性が良いので、熱を与えても熱が逃げてしまい、その結果、温度上昇が抑えられ、バインダーのエポキシが燃え出さなかった次第である。しかし、これは電気伝導性でもあるので、もし電気絶縁性要求の場合にはどう加工したら良いのだろうか・・・。 これもテーマになりますね。

 

● Report No006 / 08月03日

有機CVD その2

 ポリマー系CVDコーティングについて、前に、PPX(ポリペラキシリレン)を紹介したが、その他にポリフッ化ビニリデン、VDFオリゴマーの蒸着重合、ポリイミド、ポリ尿素等がある。 有機CVDは薄膜形成において、金属系、有機系の真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングとは異なる特徴を示す。 有機CVDは新軽薄短小時代に欠かせない加工プロセス技術と言えるだろう。

立体(3D)化

 線(1D)→ 平面(2D)→ 立体(3D)の流れで事物は複雑かつ機能的になってくる。記憶材料における垂直磁化、眼鏡なしで見られる立体ディスプレー、立体織布、立体配線等々。 かつて、インドの行者が空中に投げ上げたロープによじ登ることさえ、光硬化レジンの利用によって理論的には可能となる。これを実用界に転ずれば、「現場組立型 継ぎ目なしのカーボンファイバー筋」によるコンクリート建造物が可能となる。 3D化に新しい価値が付いて生まれる。

 

● Report No005 / 07月28日

分子協調材料 』 (工技院の独創的高機能材料創製技術プロジェクト)

 工技院の独創的高機能材料創製技術プロジェクトは、平成9年から5ヶ年計画で、民間企業9社と4大学が物質研や大工研に参加して行われているナショナルプロジェクトである。このプロジェクトは、高分子、無機、金属などの間に働く分子協調作用を利用することによって、結晶、液晶、薄膜などを形成し、革新的な光学素子、デバイス、センサー、触媒などを創製する狙いで行われている。カテゴリーとしては、マイクロポーラス材、メソフェーズ材、自己織組化膜(SAM)材がある。

有機CVD

 CVD(化学気相蒸着)による皮覆は、無機系の材質のものが多いが、ポリパラキシリレン(PPX)のような有機系も実用に供されている。 PPXは、透明で1.0μ程度の薄層でも、鋭いエッジまでピンホールなく完全に被覆出来る上に、処理工程は室温で済む。この利点を生かして、精密部品類の保護コーティング剤としての利用も広がっている。 利用の手引きとして次のようなことも考えられる。例えば、角砂糖をPPXでコーティングした後に、熱水で砂糖分を溶解抽出してしまうと、逆転層として、砂糖粒の隙間のみの構造体が得られる。また同様に、バターにもコーティングしてみると… フッ素系のPPXもいずれは出現するだろう。これは、融通性の高いコーティングプロセスなので、利用への競争は激しくなるのではないかと予想される。

 

● Report No004 / 07月21日

常温・射出成型法

 レジンを硬化させて成型物を得るには、光反応性の液状レジンを光透過窓を設けた金型キャビティーに射出し、その光透過窓から、可視光や紫外線等の光エネルギーを照射することによって行われる。 これは、常温プロセスのため、精密成型品に適している。 また、従来の熱間(ホット)射出成型では難しいとされた分野 ―光学部品、複合成型品、高性密度転写品、モジュール等のパッケージング等― への利用の可能性が高い。

マイクロ化学チップ

 マイクロ化学チップとは、マイクロトータル分析システム(μ-TAS)において中核となるものである。 マイクロ化学チップ上では、化学品の分析、反応状況、生化学の拠動の測定、環境分析や診断等を行なうことが出来る。将来的には、人工臓器やマイクロプロセス等も視野に入ってくると思われる。 システムとして、新しい産業分野の形成がなされるのは明らかである。

 

● Report No003 / 07月14日

液状接着剤レス方式の接合組み立て

 液状接着剤では、液体量の過不足が常に品質上のトラブルの原因になることが多く、そのため、部材の接合組み立ての際、現場で液体状の接着剤の使用を避けるケースが多々ある。それについての対応技法のヒントをいくつか挙げてみる。
・ 粘・接着剤の精密転写 ・ 電磁接着テープによる接合
・ 接合面のプラズマ処理による自己接着能化
・ 構造用粘着シート(VHB)による接合
・ 熱収縮フィルムによるパッケージ(包み込み)
・ 光硬化性アラミド紐による結束     など…

中・低温成型性ポリマー  (精密成型品のための光改質剤方式)

 熱可塑性プラスチックの射出成型は、比較的高温にして成されるのが一般的である。もしこれが、中・低温域で成型することが出来るならばメリットは大きいが、成型温度が低ければ、耐熱性も低いという宿命によって、なかなか現実的な利用はなされていない。しかし、光反応性可塑剤をポリマーに練り込み、中〜低温で成型して型から取り出した後に、光エネルギー照射によって可塑剤の高分子化を計れば、耐熱性は確保出来るのではないだろうか。そうなれば、成型物以外の用途にも応用出来るかもしれない。但し、その場合、組成物に関する先行特許に微妙に抵触することがあるかもしれないので注意が必要である。

 

● Report No002 / 07月05日

ガラス・ポリマー系射出成型材

 一般的に、射出成型用材料というとポリマーを思い浮かべるが、液晶ポリマー3割に対しガラスを7割用いた材料の実用が始まっている。これは、米国コーニング社の技術によって作られたものであるが、耐熱性や寸法安定性において従来のものより優れている。 ガラスを主体としたポリマーを助剤にするという発想は、ポリマー屋には気づきにくいところであり、大変独創的な材料と言える

電磁加熱

 誘導電磁場下で金属は熱くなる。よって、プラスチックに予め鉄粉を混合しておけば融着等に便利である。その際、磁性粉(γ-Fe2O3)はキロヘルツ級の場では昇温しないので、メガヘルツ級(3〜8MHz)の場で行なうと良い。そうすれば瞬時に摂氏200度以上になる。 これを利用して、γ-Fe2O3の微粉を、印刷、埋め込み、ドット付け等で予め所定の位置にセットしておけば、従来の電極方式とは異なるピンポイントヒーターが形成出来る。 また、マイクロケミカルチップへの利用も考えられるかもしれない…

 

● Report No001 / 06月27日

革新的光学プラスチック材料

(財)神奈川科学技術アカデミーの研究発表会で 3種の光学的ポリマーが発表された。
○ 光散乱ポリマー:入射光を全て外へ散乱光として出す ―――車のテールランプ等
○ 複屈折率ゼロポリマー:高精度ピックアップレンズ
○ 屈折率分布型ポリマー:多焦点メガネレンズ、遠近両用コンタクトレンズ

* 正に革新的なものです。昨年の情報ですがご紹介させていただきました。

超(?)複合成型

 二色成型やプラスチック/シリコーンゴムの複合成型などが広がっているが、単なる部品としての成型ではなく、より高度の機能を有するモジュールの成型も考えられるのではないだろうか。 高分子(ポリマー)材のみならず、金属やセラミックとの複合化などにも広げることが出来るかもしれない。夢は果てしない。ニーズのご提案があれば頑張ります。