『
異方化 』
異方導電性接着材については一応知っていたところに、ポリマーが磁場によって異方化する記事(都立大)に触れ、「そんな事あるのだなぁ」と浅学の徒ゆえの驚き。磁場配向が起こるのはナノ級異方性物質が低粘度の時。即ち、溶融体と結晶の中間状態で磁場印加されると異方化すると。又、超高磁場に高分子を入れると磁気浮上が現れ、アクリルの油滴が浮上し乍ら眞球重合物が得られると。
さればと更に眺めてみると、あるわあるわ、知らぬは我ばかり、だった。
強磁場下で― 高強度カーボンファイバーの製造、DNA配向膜の作成、
磁気アルキメデス効果によるプラスチック混合物の分別法(PATENT)、
各種合成繊維の配向、位相板の製作、化学架橋ゲルの構造制御
原子・分子の物性について知見の深い方々は、強磁場下ならばこれらの現象―そしてその特定利用は当然のこと、と。そうなると、何でも磁場を印加してみたくなる。磁場スウィッチングによる異方化のオンオフはあるのかな…。又々、気になる項目が増えそうだ。この“気になる”ということが所謂キーワードなのですね。
磁場ばかりが異方化の技法ではあるまいと思い、場としての光や電場が気になり、覗いて見るとこれもやっぱり、あるわあるわ、でした。
・偏光レーザーによるマレイミド膜の異方配向化
・偏光×射光でアゾ色素の分子配列の異方性誘起
・電場において、フォトクロミックの光分極反転による光学記録媒体の作成
・交流電場中で光重合性液晶モノマーの異方性ポリマーフィルム化
・高分子プリカーサーを電場下で紫外線硬化して配向素子の作成 等々
原子や分子という踊り子たちが、舞台を構成する仕掛け(照明、大道具、小道具、床板、回転/せり台など)と音(楽)によって一定のパターン(輪、列、塊、乱雑…)を形成するものだと把えると、予め特定の舞台を設けておいて素質不明の踊り子たちを次々と舞台に立たせてみれば、思わぬパフォーマンスを見せてくれるのではないだろうか。スターは必ずその中に居る筈。