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● Report No276 / 05月27日


孔(穴)に何を充填

別項で多孔質(ポリマー)、多孔質材料に触れました。又、No.151「孔」では、空洞に何か詰めたくなります、と。本項では、その後の詰めもの剤のメモを羅列。

  • プラスチックの粉末焼結多孔質体に、インク・香料・液化ガス・防虫剤を超臨界炭酸ガスと共に含浸注入。
  • 炭素材のナノポアに電荷を付着せしめ電気二重層キャパシタに。
  • 陽極酸化ポーラスアルミナの40nm孔に、金の電析充填し、SH基付加フェリチン分子を拱択付着せしめたDNAアレー。
  • メソポーラス酸化ニオブ(5.6Å)は紫外線下で接触水分を分解する。
  • ポーラスフッ素ポリマーの孔(φ16μ〜)に導電剤充填して異方導電シート。
  • 多孔質ガラスの孔にプロトン導電性スルフォン酸基変性してイオン導電材。

孔(穴)の駆体も密なる固体のみならず、ざるかごの如き網目状駆体もあり、ナノカーボンの構造を眺むれば、何か詰めたくなるのが人情。水素は当然、金属元素もいくつか発表あり。化合物クラスになるとどこ迄可能か。孔(穴)のサイズに対応する様に見えるも、ひょっとして籠構造は伸縮するからと・・・?その伸縮も電磁波で起せるならば、原子級アクチュエーターか。―籠の内で反応、生成物放出、なんて芸当をいづれ誰かが。そうなるとせきを切る様にして、そのパターン化・積層化・複合化が始まり出す。この何年かでナノテク時代に突入したように、オングストローム(1nano=10Å)時代は目前か。孔(穴)は暗いか、明るいか・・・。

 

● Report No275 / 05月20日


燃料電池 電解質膜

別項"燃料電池からの洩れを止めろ"でシール技法の開発レースに触れました。固体高分子・電解質型(PEFC)に於ては文字通り電解質膜の特性が、その電池の優劣を左右するので心臓部材と言える。それだけに高分子関連の企業・研究機関はこぞって開発レースに参戦。今や熾烈な争い。専門家でなくともレースの内容は面白いし、又勉強にもなる。

頭初、デュポンがある高峰に初登頂成功。さらばとほかの研究者達は、更なる高峰を求めて(より高効率イオン伝導性)のレース参戦。

当然のこと乍ら、フッ素ポリマー系でより新規性をと、スルホン酸基近傍構造を最適化したり、新規触媒を膜表面に付加したり、強度に劣るフッ素膜に高耐久性のポリマー膜を複合化したり、ナノカーボン粉を配合複合化したり、放射線照射によってグラフト架橋させたり、と。

一方、コスト問題やフッ素の溶出が懸念される欠点を避けんと、炭化水素系ポリマーを基材とする開発も急ピッチ。薄膜化(45μ)で高出力化を狙ったり、PO多孔質空孔内に電解質を充填したり、イオン伝導のみ作用する方式、耐熱に劣るPO系を芳香族系に変性したりと工夫の数々。

又、直接メタノール型FC用電解質膜に焦点を合わせたレースも活発。

より高峰の頂に立てても、それは電解質膜と言う"部材"の完成にすぎず、企業として事業品目として把えるとどうしても"部品"とも言えるMEA(膜・電極接合法)に進まざるを得なく、そうなるとM(メンブレン+触媒)と言うそれなりの高峰群の踏破の苦労が待ち構えている。

それでも一度限りのレースとは異なり、敗者復活戦の余地があるのは救いか。何と言っても透過膜の研究ですから。

 

● Report No274 / 04月29日


明治時代の有機化学工業

明治45年発刊 総合雑誌「地球」創刊号に、工博 三山喜三郎氏による明治43〜44年の欧州地区有機化学工業の工場見学記があり、先人たちの苦労が偲ばれるので今日とも比較しての科学史的記述と見ると、これも温故知新、逆の立場ならばと・・・・。

  • 塗料 ― 当時の日本は船底塗料とワニスがテーマ。油と樹脂の溶融釜の温度コントロールに熟練すれば可と判る。又、釜に車輪を付けたり、フィルタープレスを設けたりは新知見であった。更に悪臭除去装置を付けてあるのにも・・・・。
  • 人造染料 藍製造 ― 外国での新技術続出で日本国産育たずの状態なるも藍は日本でも可能かと印象。技術の塊の領域なので工場見学は絶対不可
  • 油脂 ― 脂肪酸が純正ゆえに真白で即ローソクに転用可。石鹸原料としてよし。幸ひ農務省にて石鹸製造機械の輸入と実験が計画されているのでよしと。尚 船着場からポンプ汲み上げ方式は参考に。
  • 床敷物 ― 足音を防ぐ効果のある敷物  アマニ油・桐油を煮詰めてコルク粉を混ぜ、ズック布にローラ機を通して厚塗りし、天井から吊げて 1〜2週間空気乾燥硬化。装置の大きさが日本向きではないと。
  • 人造バター ― 中〜上流の人々には天然バター、下流の人にはオレオマルガリン。ヤシ油に少量の落花生油・ゴマ油を加え、加熱→冷却して得られたフレーク(粉)に酸素を加えて醗酵、更に塩を加えて練り上げて完。
  • 印刷用紙 ― 当時全量輸入(和紙は印刷不可)、当時の日本には大量に良質セルロース(欧州ではスペイン・エスパード草)無く、更には叩解の為の苛性ソーダ(NaOH)は高価すぎて不可。日本紙には石灰を用いられた為印刷不適正。欧州でも苛性ソーダのリサイクルは開発されつつあった。

自身では、高分子材料 ― 殊にエンジニアリング接着・シール剤で昭和40年代欧米の工場見学の手配の難しさがありありと思い出されました。

 

● Report No273 / 04月20日


制振技術で快適さを

世の中、不快な振動に満ちている。その振動を制御するのが制振材。振動エネルギーを熱に変換して消散させる仕組み。 似たものに防振遮音などがある。地響き立てて走り去る鉄道列車、洗濯機の振動騒音などなど、振動をどう抑えるか、 材料技術から見れば難しくもあり、楽しくもありのテーマ領域。高周波型振動には軟質材料を貼りつけて(コンクリート/ゴムアスファルト)、 鉛の様な軟金属も効果的(公害は心配)。低周波型振動には、[おもり/バネ/粘性]の質量ダンパー的動吸振装置の様な複雑な技術も有る。ロボット、軽薄短小のIT機器、高性能自 動車エンジンとボデー構造、インテリジェント建造物などと技術革新が進むにつれ制振材技術も、更なるハイテク化が求められ ている。いくつかの工夫をご紹介。

  • CFRP(炭素ファイバー強化プラスチック板)同志を発泡粘着シートで貼合
  • 弾性・熱可塑性ゴムシートの放射線によるパターン架橋
  • 溶出法(ポリエチ+塩、PVC+塩)によって得られた多孔質ポリマーにゲル剤の含凌複合化
  • 発泡金属、金属ファイバーウェブ等に弾性ポリマーの含凌複合化
  • 遠心成型による硬質・軟質層の多層化構造
  • 多色射出成型による部分制振化  等等

具体的には何に利用できるか、アイデアゼネレーションの種に好適と。それにしても、お手玉(布袋に小豆粒を封じたもの)は優 れた制振材と知った。

 

● Report No272 / 04月14日


材料のお化粧

別項の「薄膜形成は蒸気で」も材料のお化粧に関わるもの。化粧して土台(素地)の欠点をカバーせんとの有り様は当然のこと。今やあらゆる分野の部品部材に亘っており、むしろスッピンのままのほうが珍しいと言えよう。本項では塗料以外の分野で、かつ高分子材料中心で覗いてみた事例いくつか。

  • ゴム表面をF2ガスのプラズマ雰囲気に浸して撥水層の形成。
  • シリコーンゴム製プリンターロールにフッ素薄膜コートして非粘着化。
  • 電子線(EB)照射による表面硬質化したポリマーキートップ。
  • 予じめ紫外線吸収剤を表面層に含有させておき、紫外線レーザー照射による表面硬質化。
  • スピノーダル分解プロセスによって表面にぬれ性を付与する技法。等々。
  • その他 無電解メッキの数々。

こうなると人の化粧とて、土台皮膚のカバーリングも、素地調整クリーニング/プライマーコート/中塗り/上塗り/トップ調整層 等に於て、音波・電磁波(IH・可視光〜近赤外線・微弱電流 等)・浸透性薬剤・ベーパー状吹付剤・ナノ級のキャリア材 など絡めたくなるところ。いくつか覗いたら、やっぱり既に多々でした。それでも岡目八目的要素は何かある筈とのPOST-ITを貼り付けたら、1年前の同様の貼り付けがあった。ナーンだ!

 

● Report No271 / 04月08日


燃料電池からの洩れをとめろ

燃料電池[FC]が実用化段階に入って来た。その中でも業務用・家庭用据置型の固体高分子電解質型のPEFCは、2010年頃から自動車用としても、コスト削減を目標に世界中で開発レース中。燃料の水素(H2)と空気(O2)のガス体が相手だけに漏洩問題は命取り。殊に、ガス流路付薄板(セパレータ)と電解質膜の積層構造に於て、その端部のシールは肝要。各界挙げての開発は外野から眺めても面白い。

  • ゴム・ガスケット会社 ― 断面構造に工夫を凝らした成形ゴムガスケットシール性に優れるも、接着・組立性に劣る。
  • 接着・シール剤会社 ― シール剤ビードの形成を、自動吐出機や印刷方式で。光・加熱・常温硬化のビードを予めシール部位に形成。シール性にやや乏しく、その為溝付け等の工夫を付加。
  • 合成化学会社 ― 得意の合成技術を駆使して、耐熱性・耐薬品性・弾性に優れた硬化剤オリゴマーの開発で、シリコーン、ポリイソブチレン、アクリレートなど多彩に発表。 RIM,CIPG,MIPG 狙いか。
  • 自動車メーカーFC開発部門 ― セル・スタック構造全体から眺めてのよりよきシール構造の研究。
  • この他 金属材料・繊維・カーボン材・電器・ガス会社等も積極的。

A-4サイズのセパレータ板が何百枚もの膜をサンドウィッチ積層なる構造を取るとき、ガスケット部位形成・配置・積層・固定の繁雑さもコストに関わるとすると、シール材工程の重要さは容易に理解できよう。アナ洩らすまじ!

 

● Report No270 / 04月01日


接着・接合/あの手この手

1970年代からエンジニアリング接着剤と称される材料が機械・機器の組み立てに塗布装置と共にシステム化された形で利用され始め、アクリル・シリコーン・ウレタン・エポキシが多用されるに至り、更には耐熱性の面からポリイミド・ゾルーゲル系等も出現。 ニーズ市場も、より軽薄短小のエレクトロニクスに止まらず、オプトロニクス、ケミトロニクス、バイオメディカルの分野からも続々とハイテクニーズが発生。 フリップチップ実装に異方導電性フィルム状接着剤(ACF)、DVD光ディスクの貼り合せにUV硬化型接着剤などは華々しい事例。 一方、接着剤を用いなくて部材を接合せんと、イオンビーム照射による表面酸化物除去でのFORMULAプロセス(三菱重工)、アルミ金属の摩擦攪拌(かくはん)接合(FSJ)、シリコンウェハーとガラスの陽極接合、レーザー光吸収色素層を設けたプラスチックのレーザー熔着などなど。 又、部分修理の為、リサイクルの為 等のニーズ度が増大して来た為に、一旦接合した箇所を解体すべくの工夫の数々も。UV光によるN2(窒素)ガス発生・膨張によるもの、同じくUV光による発熱融解、加熱発泡型マイクロカプセル融合型、誘導電磁場下での昇温融解などなど。異種材質の接合でいつも問題になるのは膨張係数や硬化収縮が立ちはだかるも、材料の表面材質、接合構造に至る迄、手を伸ばしての開発のいろいろ。硬化時膨張するスピロオルソカーボネイト系オリゴマーのカチオン重合や、ナノ級機能性フィラー配合接合材など注目したいところ。接着剤はハイテクの影の力。

 

● Report No269 / 03月25日


熱(冷/温)の貯めこみ

別項で電気や光の貯蓄について触れました。本項では熱の出し入れについて眺めてみます。 夏場なら5時間は25℃以下に保って食中毒は防げると称する弁当箱の冷却蓄が上市されました。熱さましのシートやパソコンの放熱マットなどは既に身近にあります。太陽温水器や夜間電力利用の暖冷房なども今では当たり前。 熱々(アツアツ)の温度ならば室温範囲(15〜30℃)に落して利用するのは、湯タンポ等で経験済なれど、例えば40〜50℃の熱を有効に吸収・再利用(放出)するとなると、案外難しいと。 逆に少し冷たい領域についても同じこと。省エネ時代、少しの熱量(冷・熱)でも"もったいない"と絞り出して、いや、絞り入れて利用する研究開発は各界で盛んなことは当然。 夏は冷たい、冬暖かい河川水や海水、下水処理からヒートポンプで熱取り出し開発も。物質は温度一定で融解だけ起る融解熱や蒸発熱なる潜熱に目をつけての開発の数々。即ち潜熱ならば顕熱の何倍ものエネルギー貯蓄出来るので効率的に熱移動が出来ると。同寸法の肺でも肺活量に大差あればの例え。

水に酢酸ソーダを配合して暖房用に、塩化アンモン化合物を配して冷房用に、媒体のポンプ輸送の効率性から水和物スラリー方式、マイクロカプセルに封入して常に流動性を一定に保っての方式等々。若しウルトラ級の潜熱量を有する物質が発見されれば、繊維にからませてクールビズ/ウォームビズは思いのまま、1粒投げ入れればたちまち冷酒に、太陽光をたっぷり吸ったシート布は寝具や床暖房に、なんてこと夢ではないでしょう。

さあ頭を熱くして考え、時には冷してみましょう。  

● Report No268 / 03月17日


"触感の科学"に一寸触れ

クッション性で評判の特殊発泡ポリウレタンスポンジ枕は圧力分布計測でフワフワ感を数量化出来るが、人の皮膚の触感の精妙さは簡単には表現できない。皮膚は断面的には複合柔軟組織で、生きもの故に難しい。硬さだけなら圧電素子による共振を利用しての周波数変化を把む方法が有るものの、保水率によって微妙に変化するだけに in-place測定能が求められる。

含水状態-wet softでの触覚は女性乳房のポヨヨーン、プヨプヨ、プルルーン。若し、このポヨヨーンを人工的に再現しようとするならばひと工夫、いや十工夫が必要となりそう。一例では、芯層部には軟質のゲル剤、豊乳房用コーヒシヴ型シリコーンゲルか、又は生理食塩水をバインダーポリマー(ポリビニルピロリドン、ポリサッカライド、CMC 等)とハイドゲルを構成し表層(表皮 )バッグに封入し、表層材には3〜4ミクロン径の極細繊維チョップによるスパンレース様不繊維にゲル剤を含凌せしめた人工皮革的スキンを用いる。更にその最表面は微細な凹凸パターンと立毛処理(特殊フロック加工)により独特のスベスベ感を得る。

聞くところ、化粧品の開発試験には、アミノ酸群たっぷりの、かつ、構造的にも細胞動態でも人の皮膚に酷似の子豚の生態皮膚が試されるとか。

上の試作品?の触感はと言えば何か足りません。やっと気が付きました、36〜38℃の体温です。この時代、この種のいやし用品はニーズ大と思いますが・・・

 

● Report No267 / 03月11日


インクジェット(IJ)印刷方式はいま?

2002年春「IJ方式の利用」項で触れたが、それから3年、日進(月歩なし)のIJの利用はどうなっているのだろう、と覗いてみたら驚くばかり。

  • 高温ポリシリコン液晶パネルの高コントラスト性無機系配合膜形成(エプソン)
  • 撥インク能光触媒にUV照射して親水性付与し、IJでホール形成する高分子有機EL(ENP)
  • LCDのTFT用配線にAg合金30ナノインキで10μ線はば
  • カラー化形成工程(RGBパターン)には、70μピッチ画素を同時着色(住友電工)

10nl/滴を吐出するIJヘッドのみならずインク剤の進歩もめざましく、1桁ナノ径の金属超微粒子も出現。今迄はIJは電子写真や銀塩の光記録方式などと競合するものと思われていたが、非接触の利を生かして、フレキ基板への ロール to ロール生産方式で拡大か、と。

更に、IT以外の分野で眺めると、DNAアレー形成・ティッシュエンジニアリングの生細胞分散液の吐出等バイオの領域でもその存在を示し始めている。

又、IJの微細化の先には新しく出現したナノ・インプリント(熱式・光式)が待ちかまえていようが、各々の特質から棲み分けに進むのか…。更には、スクリーン印刷では既に実用化されているチップコンデンサー、チップ抵抗器の積層成型の分野で、IJプロセスは独自の3Dフリースタンディング成型プロセスを拓いていくのか…。

毎年、チェックしていないと後れてしまう気持ちになる程、IJの足は速い。

 

● Report No266 / 03月04日


貯蓄

蓄える―貯蓄と言えば、個人でも企業でもお金/財産となる。科学技術の分野ではエネルギーが筆頭か。水はダム・森林に蓄えられ、石油も、いざこの時にはと国家備蓄。家庭の夜間電力利用による氷蓄熱空調もその範疇か。一方、電気化学反応を利用するレドックスフロー電池や燃料電池等はあるものの、自らが一時的にせよ電気を貯め込む方式とは言えない。即ち、前者には電解液が、後者には水素が補給されなければならないから。ところがキャパシタ(コンデンサー)となると、電子が物質表面にびっしり付着しており、必要に応じて放出―電気力として取り出せるもの、即ち、電気化学反応を伴わないだけに、その特徴は際立っており、殊に近年注目の電気二重層キャパシタの最新技術に至っては、その莫大な電子保有量から一時的発電機の能力まで示すと言う。貯蓄し難いものには光もその代表格。それだけに専門外の我々には、その種の研究ニュースはって見える。

  • 光を結晶内にて秒速数百メートルまで大減速。そして放光と。(豪州国立大レーザーセンター)
  • 二次元のフォトニック結晶の極微小領域に閉じ込め。(京都大/住友電工)
  • 光の偏光利用に於いて、ナノ粒子に近接場光照射による閉じ込め。(KAST)
  • 核融合での高温粒子を特殊磁場で瞬間的閉じ込めを図るトカマク/ヘリカル、複合方式。

か様に眺めると、電気や光の一時的蓄え技術は難しくはあるが、それは手段であり、肝要なる事は、蓄えを上手に放出する事、これは社会の制度でも言えることですね。