『 漏らすなよ 』
シビルエンジニアリング分野での漏れは困りもの。 原発からの放射性廃棄物から放射線漏れ、シールド工法トンネルのセグメントから地下水の漏れ、など限りなく事例多々。
漏れるのは、液体、気体に止まらず、粉体もあるし、電波、磁気、光などもある。 今話題の色素増感太陽電池となると、その内味(媒体)はアセトニトリル/エチレンカーボネート、PEG/沃化リチウム、イオン性液体など何れも漏れ易いもの。
10年以上の耐久性要求となると、漏れるだけでなく、外部からの空気や湿分の浸入も劣化につながってくる。 いっそのこと、擬固体化(ゼリー状)させては、との研究もある。
LCD の LC (液晶) も、ポリマー分散型 LC にして(光硬化レジンとの混合)、これもある種の擬固体化 (シート状)
で簡素型に。 一方、固体高分子型燃料電池 (PEFC) となると、FC/外界のみならず、FC 内部での各機能領域間での
「漏らすなよ」 が大切。 漏れるのは、水素、酸素、水分、湿分、酸など色々。 更に、それらがイオンであり電子であり、と一筋縄ではいかない。
よって、ここでも各社必死の開発中。
漏れるのは物質のみではない。 情報、ノウハウも工夫が必要。 それは、会社や國の命運に関わってくるから。 この種のものは放っておけば、自然に漏れてしまうもの。
気配り、目配りが必要。
『 投手とボール 』
ハイテク時代、材料に求められる特性には限りが無い。 自然物の通り一遍の加工ではとても充足し得ない。
そこで色々工夫となる。 材料の複合化などはその代表例。 理想は、原子の変質とばかりに “物質にイオンをぶつけてみれば…”
と。 そのイオンも一般化学での湿式(ウェット) ではなく、物理学の乾式(ドライ)。 即ち、イオンに加速電圧を付加すると、物質の表面から内部に亘って原子レベルで変化が与えられると。
イオンをボールと見立て、
・スローボールは、表面に堆積して薄膜形成
・中速ボールは、表面原子の一部と置換するスパッターリング
・豪速球は、物質内部に飛び込み、居座ってしまうイオン注入
勿論、ボールに種類あり。 原子、分子、イオンクラスター。 又、投げ方にも種類あり。 よって、新規性の光素子、薄膜太陽電池、機能素子に止まらず、バイオ、薬剤、建材分野に至るまで、随所でトライ中。
トピックスは、熱電変換膜を持つ布地、オイルレスエンジン、太陽電池型窓ガラスなど。 この先、無数のイオンボールを物質に打ち込んでおき、任意に取り出せる――キャッチャーが投げ返してくれるような――技術があったら何に使えましょうか?