トップページで毎週お届けしております NEEDS と SEEDS をつなぐ】は新しいレポートが掲載された後、こちらでバックナンバーとしてご覧いただけます。


2000年夏 / 6月〜 8月

2000年秋 / 9月〜11月

2000年冬 /12月〜 2月

2001年春 / 3月〜 5月

2001年夏 / 6月〜 8月

2001年秋 / 9月〜11月

2001年冬 /12月〜 2月

2002年春 / 3月〜 5月

2002年夏 / 6月〜 8月

2002年秋 / 9月〜11月

2002年冬 /12月〜 2月

2003年春 / 3月〜 5月

2003年夏 / 6月〜 8月

2003年秋 / 9月〜11月

2003年冬 /12月〜 2月

2004年春 / 3月〜 5月

2004年夏 / 6月〜 8月

2004年秋 / 9月〜11月

2004年冬 /12月〜 2月

2005年春 / 3月〜 5月

2005年夏 / 6月〜 8月

2005年秋 / 9月〜11月

2006年冬 / 12月〜2月

2006年春 / 3月〜 5月

2006年夏 / 6月〜 8月

2006年秋 / 9月〜11月

2006年冬 / 12月〜2月

2007年春 / 3月〜 5月

2007年夏 / 6月〜 8月

2007年秋 / 9月〜11月

2007年冬 / 12月〜2月

2008年春 / 3月〜 5月

2008年夏 / 6月〜 8月

 

● Report No220/ 02月22日

多孔質材料

  最近、ハイテク機能性物質の担持材としての多孔質材料の研究が盛ん。又、それらの穴も乱雑でなく、孔径の均一性と整列性に優れたものが求められている。そうなるとアルミニウムの酸化電解液中で陽極酸化して得られるナノホール物体が注目を集める。それも陽極酸化に先立って、孔発生の人工的開始点を付与して超精密な孔(35n径)アレーを得る研究(KAST)に注目したい。

 それは精密濾過材としてのみならず、孔に何か詰めたくなります。今(Au)を詰めて、金と結合し易いメルカプト基(‐SH)をDNAに尻尾づけした、DNAのアレーのバイオチップは華と映ります。又、孔に磁性体を詰めれば、大容量の記録媒体へ、25ナノ径Au粒ならば一酸化炭素ガス除去用の触媒複合体となるし、エレクトロミック剤(EC)ならば表示素子、特定薬剤を封じれば加熱してDDSに、ヘテロポリ酸と酸化剤を封じれば燃料電池の酸化電極材に、孔内が空気のままならば、シリコン素子のLow‐K膜として作用しようし、水素吸蔵孔としての効果も期待出来る。

 か様にナノ孔にナノ物質を詰める様に、ナノ網にナノ粒も考えられるかも。又、孔と網目の中間に位置するナノ穴材も存在しましょう。

 1つの担持材の出現が多くのデバイス、モジュールの出現を促す時代、そんなことボンヤリ考えていたら、目前に葉脈のみの枯葉が舞い落ちてきた。

 

● Report No219/ 02月15日

デバイス

   新聞・雑誌によく出る単語に“素子”、“デバイス”がある。後者は辞典によると装置・仕掛け・考案物とある。前者は多分、誰かが何日頃か何かの根拠で名付けたのだろう。

 原素・原子から連想して特殊な素子かと感じている一般人は多いだろう。マイクロナノテク時代、素子なしに技術を語れないところに来ているので一度素子眺めでもと思い羅列してみた。FC、LSIを筆頭に、

 ・表示素子‐EL、LCD、…
 ・アンテナ素子‐カーボンマイクロコイルなどの
  電波吸収特性利用したもの
 ・酵素素子
 ・圧電素子‐圧力を負荷すれば電場発生
 ・熱電素子‐温度差を電気に変換、焦電型IR素子もあり
 ・光素子‐レーザーダイオード、LED、CCD
 ・GMR素子‐磁界強度の検出
 ・SAW素子
 ・光導波素子

 これらの素子類の進歩発展によって人の世界の物理的環境はより整えられ快適になってゆくと、素子まかせ素子に流されることがない様に一寸注意を、と身構えの素な気持ちも出てくる。

 

● Report No218/ 02月08日

可溶化

  物質を液体化すると、その利用範囲が拡がるので化学者たちは何とか溶かそうとする。金(Au)を王水(硝酸+塩酸)の様な強酸ではなく、ヨードチンキ様薬品で溶かしたりの技術も出現。単純に溶けないとなると、例えば石炭などは微粉にして、水や油を加えてスラリー(泥しょう)なる擬似液体にして重油代替燃料。又、金属類も酸化物前駆体として液体化し、塗布‐焼成すれば金属酸化物薄膜が得られ、誘電体材料(セラミック)として広く実用化されている例も。

又、今話題のカーボンナノチューブ(SWCNT)も、カルボキシル基とアミン類との変性プロセスに於いて、脱水剤を用いて、溶媒(トルエンなど)に可溶化する技術も出現(AIST)。さすれば、金属酸化物前駆体液体に、トルエンに溶解したSWCNT溶液を混合し(2相分散系か)、分散媒の蒸散後の形成薄膜の構造はどうなっているのかな、更に焼成工程経た金属酸化物中のCNTはどんな姿か、更にトルエンによるCNTの部分(溶解)抽出したら、ナノ多孔質が形成されているのかな…。

こんな風にドンドン勝手にプロセス放浪的想像し出すと脳が、いや思考が凝固してしまい、[散歩+コーヒー]のプロセスで可溶化せんとするも、大方駄目ですね。結局は「?」マーク付きファイルBOX行きとなる日常。でも、答よりも大切なのは問題の方なのだと勝手納得中。

 

● Report No217/ 12月21日

ビタミンCって面白い

   ビタミンC、化学的にはアスコルビン酸のL体に限られD体は無力。

 サプリメントの代表格。化粧品にも使える構造式。還元作用を有し、H失うとラジカルとなり酸化・還元の両方の機能を持ち、体内のホルモン・インターフェロン・酵素などの生成や調節を計ると。又、活性酸素消去や金属キレート化による肝臓の解毒作用・壊血滴薬と人体必須成分の王様。最近では、別項、生体用ナノ磁石('03秋)で触れた、ビタミン系高分子で鉄のナノ微粒子を包んで生体内の鉄分を人為的に移動する研究もある様に、その利用可能性研究は随所に見られる。

  ・ラジカル重合促進剤としてアクリル系接着剤に

  ・市販のヨードチンキにビタミンCを添加すると
   金(Au)箔が溶解するのを利用して
   導電回路を安価に形成したり

 食品のビタミンCが重合反応に関わる様に、サッカリン(人工甘味料、オルソスルフォ安息香酸イミド)もアクリル系組成物の重合促進作用があるので、何か一寸妙に感じますね。そうなると甘酸を合わせてみたくなります。相乗効果が出るどころか相殺効果(逆効果)で元の木阿弥かも。なれば食品5味(酸、甘、塩、辛、苦)を広くアスコルビン酸と組合せてみよう…と言う形が昔の錬金術師、今日の科学者。

 昔、まじない師、今、医師。昔、霊媒師、今、心理学者。唯、情報量に彼我の差はあるものの、ベクトルは同一方向。何か面白そうだと感ずるところから全ては始まる。


● Report No216
/ 12月14日

空間

  大谷石採掘場の地面崩落は、無理な地下空間造りによるもの。青森のネブタは針金の骨格を和紙で覆ったもの、飛行船も同種。一方、ゴム風船は骨格なし。こう見ると、空間とは仕切りの膜・シート・板で囲われたものとすると、多様多種の材料を駆使して特殊空間作りの開発例は世の中ゴマンと存在。

・鋳物の砂中子のかき出しによるもの、
 この逆に砂で通路空間を埋めるピラミッド。
 砂の代りに、水溶性レジンコートした
 ガラスビーズを使えばよりスマート。

・角砂糖に有機CVD‐パリレン加工を施し、
 後、熱水で砂糖分を溶出すれば、
 砂糖結晶形状の3D空間が得られる、
 即ち、城の、石の無い石垣ができるとなると
 忍者もびっくり。

・ポリマー殻を持つ水のマイクロカプセルを得、
 続いて水を蒸散せしむれば、マイクロ空間が得られる。
 何に利用できますか…。
 実用的には、砕細して顔料として
 利用しているそうですが。

・ポリマースポンジにセラミックスラリー(泥しょう)を
 含浸・後高温焼成すれば、
 セラミックスポンジが得られると。

 セラミック層内にトンネル網が
形成されているのか否か、少し気になります。

  宇宙は空間、宇宙は真空より生まれたとか、真空には或る種のエネルギーが潜在しているとか。空は空なり、否。空は実なりと。宇宙も原子に相似なら、マイクロ空間にも何かが在るのかな。そう言えば、原子も99.99…%以上空間のみですね。

 


● Report No215
/ 12月07日

使い勝手

 商品として性能や価格が可であっても、使い勝手が悪いと市場では迎入れてくれない。エポキシ樹脂の主剤/硬化剤の2液性は扱いが面倒。何とか一液性の手軽さに近づけようと開発者達は工夫の数々。殊に小口業務用分野でのバリエーションのいくつか、自身直接開発に携わった事例のご紹介。

  ・押出し成型で竹輪状主剤の中にパテ状硬化剤を詰めて、
   金太郎飴的スティック型。
   ナイフでカットして指先でこねれば…。

  ・上例はパテ状なので、撹拌棒による混合は不可。
   主硬・硬化剤共にゼリー化剤で一時的凝固させて
   ミニカップに収納すれば…。

  ・重合触媒を細ガラス管に詰めて、
   骨材・エポキシアクリレート液と共に
   ガラス試験管内に収納すれば、
   コンクリートアンカーボルト固定材に。

  ・メガネ型シリンジンに主剤・硬化剤を詰め、
   先端にスタティック・ミキサーを装着すれば
   ワンタッチ型に。別に竹輪型シリンジも出現。

  ・接着面の片方に重合触媒を
   プレコート(ドライ膜)しておけば
   実質的一液性の使い勝手が可と…。

  ・重合触媒をマイクロカプセルに封入し、主剤に配合。
   圧力で潰せば反応する方式。

 顧客は“使い勝手”を勝手に要望。それがニーズというものでしょう。