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● Report No254 / 11月29日

ナノ粉を配合すれば

 ナノ級の粉となると普通の顕微鏡では見つめることが出来ない。当然のこと乍ら目に見えない粉の機能は、担体と組合わせて通して発揮することになる。次々と登場するナノ粉の配合技術の一端を下記にメモ的に……。

  • Ag-Pd(10〜20ナノ)スフェアは液中での分散安定している為、インクジェット用インクが可能となり、その結果20ミクロン導電回路幅が可能となった。(日本ペイント)
  • 酸化耐性を高めたナノ級銅粉はインクジェット用インクとして或はスクリーン印刷インクとして細線化が可となり、更に非マイグレーション性も(旭硝子)
  • ゴムにCNTを配合した導電性ゴムをフィラメントとする電灯(東京工科大)
  • ポリスチレン溶液にナノ級Au粉を配合し、特定条件下でスプレーコートし、金粒子を立体配列させ、デジタルメモリーに(NEDO/UCLA)
  • ナノ級金粒子を合成し、非界面活性処理して粒子接合し、基板上に配列せしめて、レーザー起動のスイッチング素子に(名古屋工大)

 今後、益々、あらゆる物質のナノ粉(片、棒、ファイバー状等色々)が出現しよう。それらの特異性が最も発現する様な、担体との組み合わせ、その複合化、更にはモジュール化が、大規模に、迅速に、かつ果てしなくその開発努力が拡げられよう。別の見方で言えば“誰にもチャンス”の分野かも。早速、アノ粉をアノ材料と組合わせてみようかな……。

 

● Report No253 / 11月21日

代替

 とりあえず代替品で済まそう――と言うと、やむを得ず一時的に我慢して不満足ながら間に合わせよう、のニュアンスがある。逆に、文字通り、次世代に替えよう、との解釈に立つとどうだろう。家屋材料とて土壁はサイジング材に、茅葺の屋根はコロニアルに、木柱・木梁は鉄骨やモノコックに。鉄材とてアルミやFRPにと既に代替わり終了。ハイテク分野ではより激しい代替わり競争中。

IT機器CRT→FPD 更にはLCD→有機EL
PDP→RPJ HDD→フラッシュメモリー
CCFL(蛍光放電管)→LED バーコード→RFID
材料面透明電極材(ITO+Sn)→TiO2+Nb(ニオブ)/KAST
透明電極材(ITO+Sn)→ZnO 透明導電膜
人工骨チタン合金→生体親和表層(水酸化アパタイト)セラミック

 こう眺めると、代替とはピンチヒッターではなく、選手交代の感が強い。時代が動く/ニーズが生まれ/シーズが萌芽し/技術の形をとって/淘汰が進み/流れが形成され/……の順が絡み合いながらやがて本流に流れ込む、いや、本流を形成するのか。何れにせよ、本流には到達し得る可能性ある技術に触れていたいもの。今はベンチに座していても……。

 

● Report No252 / 11月17日

軟派

 アクリル系硬化性組成物の開発に携わっていた頃、構造用材料を狙っていたせいか、耐熱・耐水・耐薬品性に優れ、構造強度の高いもの求めての姿勢。そうなるとこれらの特性値に劣る材料は下等=軟派に見えてしまう偏見がいつの間にか生じ、その代表格はアクリルアミド。後年、感温性ポリマーに関わってみて、偏見を恥じた次第。近々のアクリルアミド関連技術ニュースを眺めて一層その感強くした。

  • 培養細胞の接着を光による脱離制御(AIST)
  • 親水性カオリン懸濁液は温度上昇により疎水性に転移しフロック化
  • 1%アクリルアミド、1%燐安の水溶液はスーパー消火水
  • アクリルアミドの生体適合性から人工血管コーティング・外科用接着剤・DDS剤として有用
  • 昇温時に水分を放出する植物への給水制御剤とそのシステム

 これだけ眺めても、アクリルアミドは人に・地球に・実に優しい材料に見える。室温領域の温度に感応する優しさに触れて、そのハイテク度に触れて軟派は上等と認識新た。理解の無さこそ下等と。反省事項が又一つ増えました。

 

● Report No251 / 11月02日

ナノ構造をもつポリマー

 ナノ寸法の物質の集合体は電気・磁気・力学・光学・環境調和性・触媒能力・生体適合性等、従来技術では得られ難い新材料の創製に結びつくことから、各界で精力的に研究開発が推し進められている。高分子材料に限ってナノ構造技術を眺めても数多くあり、ここでは実業界の材料屋から見た時、理解し易く何か触れてみたくなる企業の商品ニュースをピックアップしてみました。

  • 数十ナノの均一な繊維径を持つナイロンファイバーは、吸湿性が大きくなり、綿並みになり、ナイロン肌着も可能か。(東レ)。
  • α―オレフィン系エラストマーの結晶構造をナノとした事で、透明性を維持しながら耐熱性を大幅に向上させ、ゴム弾性に優れているので(三井化学)
  • ポリシロキサンを主成分とする熱硬化性レジンで異なる分子構造をナノレベルで結合させた結果、高絶縁性、耐熱性、柔軟性が得られ、SiCインバータの大容量化に資する材料として期待。(関西電力―旭電化)
  • 修飾でん粉を基剤とする生分解エマルジョンは陶器製造用バインダーとして粘土・貝殻粉と組合わせてグリーンコンポジット化(ミヨシ油脂)
  • ポリスチレン/ポリメタクリル酸の自己組織化ドットパターンをエッチングマスクとしたLEDの光反射防止膜の形成により、100%光取出し可と。(東芝)シランカップリング剤に特殊アルコキシサイドを組合せたSAM(自己組織化膜)は1〜2ナノ長さの分子柱を形成する(日本電達)

 寸法はナノ級でも、それが集合体となるととんでもない特性を示すことになると、別項で記載の「ナノ粉を配合すれば…」と「ナノ構造をもつポリマー」を絡めたくなる。なんと単純な発想ですね。

 

● Report No250 / 10月25日

人工筋肉(一)

 人工筋肉と聞いた時、30年程前の石油ベースの人造蛋白食品を連想した。豈図らんや、材料として形状記憶合金あり、セラミックあり、プラスチックあり、それらの複合材もありと多岐に亘る。

 筋肉と称するからには駆動能が必須で、その為の原理・方式に世界中で開発レースが展開されている。注目技術方式の一つは誘電ポリマーに電場を印加して膨張・収縮させる現象の利用。これは'90年頃米国SRIにて開発され、低エネルギー消費型で高出力(力持ち)型の筋肉(アクチュエー)。'05年3月には女子高生との腕相撲大会で30秒耐えたところまできているとか。軽薄短小化技術の要求にもこの種のアクチュエータは好適であるので、マイクロマシン、マイクロポンプ、バルヴ等への利用は直ぐに思いつくだけに、その先には従来のMEMSでは難しい手術用機具(ピンセット・鋏・メス等)や人工器官の駆動デバイスが市場として待たれている。

 精密工業分野では、制振・運動制御・スイッチ・センサー等、更には大型化しての健康用具等への可能性も思うだに楽しい。上述の腕相撲より発展して、人工筋肉型ロボットによる蕎麦打ちコンテストがいつの日か開催されよう。蕎麦粉への水加え―指先での濡らせ混ぜ―仮練り―本練り―伸ばし―畳み重ね―切り―茹で―水洗―盛付け。まるでTV番組サスケ並み。ナノテク技術と相俟って、差程遠くない日には…と、直感。

 

● Report No249 / 10月18日

フラクタル

 葉の表面に微細な突起柱がびっしり並んでいる蓮の葉に学べとばかりに、この種のフラクタル構造物造り研究が多く見られる様になった。

  • 150ナノ径の柱を幅50ミクロンの中に並べれば多数の遺伝子を瞬時に解析できるバイオチップに。
  • スピンスプレー法によって3〜10ミクロンの厚さでナノ柱がびっしり詰っているフェライトメッキ層は電磁ノイズ抑制材(東工大)
  • MBEによって窒化ガリウム(GaN)のナノ柱結晶は発光効率が従来技術の数百倍の可視光〜DUV領域の発光ダイオード(上智大)
  • アルキルピロールの電解重合によって30ミクロン長の柱の羅列面は接触角154°の超撥水プラスチック膜(北大)
  • シランカップリング剤に特殊アルコキシサイドを組合せたSAM(自己組織化膜)は1〜2ナノ長さの分子柱を形成する(日本電達)
  • アルキルケテンダイマー(AKD)を融液から結晶化させれば、ナノ〜ミクロン級柱のフラクタル構造を形成し、接触角174°(北大)

 顕微鏡で覗けば、ローマ遺跡の列柱か、華道の剣山か、坊主頭の五分刈りか、フロック加工か、今のところナノ〜ミクロン柱のカーペット様であるが、何れは異種の柱の組合せ・柱パターン・柱の個々への細工などが始まりそう。そこでは何をヒント/モデルにしたらよいかな。蓮の葉に座する仏像に伺って見ますか……。

 

● Report No248 / 10月12日

導電性粉粒のいくつか

 かつては導電性カーボンブラック、グラファイト。その後、銅・銀・金粉などが導電ペースト用のフィラーであった。単にビヒクルに配合しただけでは等方性(全方向導電性を示す)なるも、微細配線接合ニーズが生ずるに従って、異方性がニーズとして現れ、その為の導電性粉粒が求められる様になってきた。近頃のメモからいくつかピックアップしてみました。

  • 眞球状ポリマー粒(2μ径)にNi−Auメッキ被覆(セキスイ)
  • ニッケル粒にAuメッキ(5〜10μ径)を1〜2%配合してペースト化。40μピッチ配線まで使用可。
  • ポリマー粒にNi−Auメッキ施すも表面は金平糖の様な突起形成―接触面の拡大と接触抵抗値の低下が狙い(日本化学)
  • ウエハー表面に金属(Au、Ag、Cu、Pt)のナノ級ドットパターン形成(早稲田大学)
  • 上記4材は何れも接着型接合なるも、下記の如き着脱可能型マイクロ異方導電材(not剤)の出現は面白い。即ち、ポリマーフィルム上に磁性合金(Ni)の中空ファイバー(0.5μφ)を配列し、フラクタル構造を形成、さすれば加圧なしで接触のみでマイクロ配線の接合が可能になるとか。スーパーベルクロの導電型か……。(東工大)

 さすれば、マイクロ級「蛸の吸盤」型のも探せば存在するのかな。いやいや、マイクロウェルアレー(WELL=井戸)とフラクタルの組合せの方が良いかも。マイクロウェルの代表格はアルミニュームの陽極酸化処理だけど……と、勝手夢想。

 

● Report No247 / 10月04日

ブラックボックス化

 かつて、国家プロジェクトとして官民挙げた超LSIも、完成するも間もなく、類似品の出現。外国企業、それもNIES国のとはいかなる理由かと疑問に感じたことがあった。今日でもLCD、PDP、EL等のFPD技術、高機能モバイル技術等でも、同じ轍を踏んでいると見える。

 後発の立場からすれば、先行キャッチアップには、特許と周辺技術情報から学び、必要とする部品/部材を購入し、加えて製造装置一式が揃えば、驚く程の早さで出荷できるようになる。さすれば先発側は、特許抵触に目を光らせ、心臓部位に当たる部品・部材の構造・材質・加工プロセスを、敢えて(公開)特許とせず、ブラックボックス化(単なるノウハウではなく、専用の部品・部材化の形を採って転用しにくい姿とする)を図るようになる。例えばセラミックパッケージ、カラーフィルター、リードフレーム、偏光板、非球面レンズ、セラミックコンデンサー、300ミリウエハー水晶デバイス、プリンターヘッドインク、先端的FPC、加えてナノ素材料とその複合体等々はそれらだ。

 しかし乍ら、それらのメーカーとて販売拡大を望む時、別仕様での出荷は当然のこととする二律相反は先発の悩み。それゆえに「何をどのようにブラックボックス化するのがよいのか」の手法ですらブラックボックスにしかねない。攻める側・守る側の双方の立場でのロールプレイング/開発戦略討論が昼夜問わずの……。加えて、スタッフの引き抜きまで、注意せねばならないし。

 昔、あるモーター設計者が言っておりました。「構造と材質は判るんだけど、肝心の電工工程(ワニス処理など)は判らないなぁー」と。

 

● Report No246 / 09月27日

光学材料のいくつか

 光技術の時代、素人には手を出せない分野だけに逆に新しい光学材料のニュースが気にかかる。最近のものいくつか手元メモより羅列してみました。

  • 極性基をもつアモルファス・ノルボルネン系樹脂のレンズ用位相差フィルムを押出し法(非キャスト法)にて生産
  • 光ファイバーとガラスレンズの接合に、アーク放電によってレンズ端面を加熱・軟化せしめて、光ファイバーを焦点位置まで押込み、超小型のコリメータ・レンズ開発(職能大)
  • 温度によって光学特性が可逆的に変化するサーモクロミック材料を自動車ガラスにコートすると、可視光領域での透過性を保ちつつ太陽光の入射調節が可となる(AIST)
  • 石英板にカーボンナノチューブの垂直配向膜を形成すると、可視光・紫外線に対して偏光特性あるので、半導体リソグラフィー用偏光素子に(東大)
  • 光受光素子(有機太陽電池、有機ELなど)への可能性。

 ガラス基板上に(ポリマーバインダー+ポリスチレン粒)膜を形成し、それに金属蒸着、基板から剥がして膜を作り、ポリスチレンを溶出すると、メタル(Au、Ag、Al)ハニカム膜が得られる。濡れ特性がコントロール可能なので光受光素子が……。

 最近ニュースだけでも数十件に及ぶ程存在し、それもあらゆる技術分野に亘っていることに改めて驚く。逆に言えば、あらゆる分野の研究者達は、光技術でブレークスルーしようとしているし、又、未開の研究領域である表れと感じた。何年後かにはこの“いくつか”欄が増えていることでしょう。

 

● Report No245 / 09月13日

光触媒のいくつか

 「二酸化チタン・光触媒」で検索すると、あまりにも膨大な情報量に改めて驚く。撥水性の逆の超親水性化膜の形成によって水の薄膜が容易に得られる為、気化熱放出/温暖化対策の着目は素晴しい。もともと光触媒には分解・殺菌・消臭等の機能があるものの、支持基材を傷めてしまう欠点――商品としての耐久性――が悩みの種。いくつかの情報を拾ってみました。

  • シリカゲル孔内にTiO2をコートし、障子紙に漉き込む。(新東工業)
  • 亜鉛をキャリアに5ナノ級のTiO2を付着させ、臭気に万遍なく接触させる高性能化。(日立)
  • 酸化ニッケルとランタンをドープしたタンタル酸を組合せた、紫外線で水を分解する触媒。可視光領域での分解触媒にも成功。(東京理大)
  • 〔SnO2−タングステン〕で被覆した導電性酸化チタンは多用途。(チタン工業)
  • 酸化チタンにニオブ(Nb,原子番号41、超電導材、原子炉材などに利用を添加すると透明で導電性を示す。高価なSnO2−In(LCD電極など)の代替品としての可能性。(KAST)

 金属の酸化物の特異性にはいつも驚かされる。それを更に高度化・高機能化するのには粉体形状を変え、異種金属と組合せ(合金、ドープなど)、支持体も多岐に拱択し、加えて特異性が最もフィットする利用分野に篏合するセンス……が。


 

● Report No244 / 09月01日

制振(一)

 餅搗用石臼が杵の衝撃で割れない理屈が判ったのは、その場で餅を食べながら眺めていた子ども時代。後年、餅は粘弾性材料とか称する定義内の語で、それは優れた制振材であることも知った。又、自動車のボディー鋼板がビーンビーンとかカンカン音が生じないのも内側に塗ったり、貼ったりしてある結果と判り妙に感心。

 世の中“その振動は困るよ”のニーズに満ちている所為か、振動を無くせ、減らせの製品も多々。小はIT機器のパーツ取付部位やパーツ自身、振動発信の元凶とも言えるモートル類、中はエンジン・オイルパン等。大は住宅用免振や鉄道の路庄地盤、プラント配管取付部位等々。

 振動低減には制振の他、似ているものに防振・動吸振・衝撃緩衝等あるも、制振は振動伝達部位に内部減衰の高い材料を貼り付けて振動エネルギーを熱エネルギーに変換して振動低減させることとある。材料的にも高分子材料・セラミック・金属等、形状もフィルム・ゲル状・シート・ブロック、更には複合化――例えば発泡金属+ゲル剤――等、工夫の数々オンパレードの有様。

 中でも注目は、エラストマーにTgを有する低分子化合物と導電性フィラー配合した材料(tanδ=1.5以上)(JST)、これは上述の定義に積極的に対応した技術と映る。薄い粘着テープの貼付けで、振動を大幅に低減出来れば、貼り付けたい個所は多々あり。

 更に、このテープに熱放散フィルムを貼付け、更に、その上に熱回収蓄熱フィルムを貼り付けたら、落語になりそう。