● Report No301 / 03月07日
『 発泡金属 』
身近な発泡材料と言えば食品トレーの発泡スチロール・寝具のウレタンフォームなど。発泡品はプラスチックのみならず住宅用のコンクリートパネルにも見られる。発泡品の空洞は文字通り空気。その空間率は99%に達するものもある。又、気泡が連続したもの(スポンジ)不連続のもの(セルラー)とあり、空気が主容量成分なればその結果は軽量・断熱・光透過散乱・外力吸収の特質を内に秘める。
最近の注目は発泡金属。上市されている金属はSPCC、SUS、Mg、Ni、Ag、Auなど、その中でも特筆はAl(アルミニューム)が面白い。一般には発泡金属はスポンジ型が多いが発泡剤等の工夫によってセルラー型も出現。Alも溶融法とは別に新たに粉末プロセス法が開発されNEDOプロジェクトとして自動車の長尺部品・大型部品への利用が検討されつつあり、当然のこと乍ら住宅や住宅機器等への波及効果が期待される。自動車の安全性向上の為の軽量性衝撃エネルギー吸収材料として最右翼に位置することは当然となれば バンパー/フラッシュボックス/吸収ポッド 等々へと。
一般に金属は塑性材料、その発泡材となればあまりにも素直な外圧追随変形能ゆえに、応力緩和率100%で身が立つ様な構造材パートナーとの組合せも開発注目点。発泡金属もブロック状・シート状、又 気孔率と気孔サイズいろいろと、プラスチックに遅れること○○年、新規性機能材料の仲間入りに。それも単なる強度コントロール材ではなく、触媒のキャリア材や人工骨の躯体等々、粒空間をどう生かすかも重要。知恵を孔埋めに注ごう。あな恐ろしならぬ孔楽し。
● Report No300 / 02月03日
『 成型いろいろ 』
もの造りでは、何と言っても形造りの製造現場。装置から次々と吐き出される製品。見ていて飽きない。それが素材レベルであろうが、部材・中間材であろうが、生まれたては美しい、感動を誘う。最近のは、形状も複雑、多種材料系、機能材化、カラー化などの複合材料ゆえに、その成型プロセス・成型用型・材料の種類も多種多彩。さながらオリンピック10種競技をスタンドから見ている感じ、そこで目についた企業の技術ニュースをいくつかピックアップ。
- フラットハーネス上に部品を直接実装するのに、ホッチキスの様に突きさし固定接続(古河電工)
- 急速冷却型ロール鋳造法によるマグネシューム合金の薄板をEMI材に(権田金属)
- 金属板の積層と拡散接合による冷却回路付射出成型用金型(積層金型研究所)
- 植物系バインダー剤20%による木材チップの射出成型化(大日本住友製薬)
- アルミ表面にナノ級細孔つけて、エンジニアリングプラスチックとのインサート成型による異種材料の複合化 - 完全接着実現(大成プラス)
- ガス(空気・CO2・N2など)を溶解させたレジンの射出成型による発泡体の製造方法、異種ポリマーの積層成型も可となる(宇部興産機械)
クロスワードパズルの如く、材料いろいろを並べて、タテ・横・ナナメ、更には重ねて、捩っての組み合わせ、それに成型プロセスを掛算してみれば、新しい機能性材料が生まれるかも・・・・・。頭の運動がやがては・・・・・敵は本能寺に。
● Report No299 / 01月19日
『 たい肥 』
化学肥料全盛時代を経て、自然回帰へと有機農法が増え、その為の有機性の自然肥料たい肥が店頭で販売される様になった。それは子供の頃の想い出に重なるもの。
あの時代、稲・麦わら・落葉など積み重ね、下肥(人糞)を散布して覆をし、醗酵を促し、やがて温度上昇と共に湯気立ち昇り始める。そこで薙刀で切り崩して熱放散(異常発酵を抑える)を計り、何回かくり返すとやがて黒色の邪臭の無いしっとりとしたたい肥が出来たもの。
今から30年程前に企業内プロジェクトとして"豚の糞を醗酵させて未消化栄養分を飼料にリサイクルする事業開発"を傍目で眺めた事があった。未消化栄養分が50%にも達するとなると養豚業者の注目を得、一時期事業は軌道に乗ったかに見えたが、穀物の国際市場の暴落によって経済メリットが薄れてしまい撤退の破目に。思えば有機肥料への転換の発想がなかったこと少し悔やまれるところ。
今日地球温暖化対策から発生ガスの種類(アンモニア・N2O・硝酸性チッソ)・その発生量的抑制にからむたい肥化に関わる家畜排泄物法が2004年より牛糞を手始めに施工され豚・にわとりも対象に。
一方食品廃材からのたい肥作りも示され、例えば[米糠/油粕/魚粉/茶かす/おから]を混合し土と水を加え50℃以下に保ち、時々空気を混ぜれば2〜3週間後にたい肥が得られ、野菜作りにベストと。
一方工業的技術では如何ならんと眺めると、腐敗性廃棄物を混練ペーストにし熱処理して生き残りの醗酵菌(バチルスSPガルスX菌)に優先的増殖醗酵させる特許があった。(登録2929571)
親がよく言っていた言葉"倉の天井や梁、桶や樽には菌が棲みついているものよ"と。
● Report No298 / 12月21日
『 スーパーファイバー 』
繊維と言えばすぐに衣料を連想。カタカナでファイバーと発音すると工業技術用先端的材料のように聞こえる。ナノファイバー・光ファイバー・カーボンファイバーなど既に人口に膾炙。スーパー繊維としてアラミド系(kevler)PBO(Zylan)ポリアリレート(Vectran)超強力ポリエチレン(Dyneema)超強力PVA(KeulerKU)など。
それでも異色のファイバーと見えたいくつかをピックアップ。
- 大豆蛋白ファイバーと綿を複合化し肌に優しい織物(東レ・他)
- 米の胚芽油とオリザノールをレーヨンに練り込んだ米糠布(鈴木靴下)
- イミド系ナノファイバー(1000ナノ径)を基布とするバックフィルター(群栄化学)
- 人体有害な1ミクロン径以下の微細分を除去した耐熱性アルミナファイバー布(米国・サフィル社)
- カーボンファイバー(PAN系)の束による水質浄化と藻場の形成(群馬高専)
- アルミ箔のコイルを回転切削して作る繊維をバインダーレスで不繊維布化後に焼結した吸音材(古河スカイ)
か様に眺めると、その特性は、ナノ・超強力・伝達伝送・環境浄化・生分解・バイオ・医療・高感性を主張した強者揃い。こんなスーパーファイバーで作られたウルトラハンモックで転寝したいなあー。接触圧迫感が無く、薬剤香気に包まれ、細胞振動に同調のゆらぎで夢現(ゆめうつつ)の世界へ。目覚めたら畳んでポケットに・・・・・。でも何か足りないなー。又、ハンモックで考えようかなー。
● Report No297 / 12月07日
『 情報戦争 』
情報局と言えば米国のCIA、英国のMI5、イスラエルのモサド、旧ソ連のKGBなどの組織。マタハリ、007、通商代表国を隠れ蓑の駐在武官、新聞記者などは一昔前の姿。現在ではエシュロン盗聴システム、偵察衛星、ハッカーアクションなど、様変わりであまりハイテク型システムになってしまうと人間味がない。面白味が少ない。やはり必要な情報を必要な場所へ、どう伝える(運搬)するか、そこに流れる汗と知恵が生臭く面白い。その点では伝書鳩がドラマチック。古くはかのジンギスカンやローマのカエサル、ナポレオンも勝利の伝報に利用していたと。
600回/分振動の心臓を持ち、10回/秒の羽ばたき 約100km/時のスピードの450g程の鳥の帰巣本能を利用。
第一次欧州大戦で、英国では400人の鳩トレーナーが20万羽を訓練し成果を挙げ軍組織に伝書鳩局が設けられる程(M1-14)。第二次大戦では、大陸爆撃機に常備、若し不時着すれば無線に代えての連絡手段に。又、米軍による誤爆を未然に防ぎ1000名の英軍が救出されたとの大殊勲も。相手のドイツ軍とて黙ってる訳に行かぬと、鳩の天敵の隼(はやぶさ)を配置、急降下のハイスピード(時速250km以上)で上空から襲撃したり、贋の足輪をつけたスパイ鳩などで対抗。
鳩の帰巣の方法は海上では太陽の位置・方角・地球の磁場か、地上では目立つ風景物に感応することによるものと。今から思えば、武田信玄の信州から甲府迄の烽火台列、忠臣蔵の江戸 - 赤穂迄の600キロを数十時間などを鳩に代えたらどれ程よいか・・・・・。
この鳩とて、ハイテクでやがては人工鳩 - 人工筋肉の胸肉と太陽電池羽、GPSの脳 - が出現するかも。鳩は平和のシンボルなのに、この人工鳩にもマイクロ武器を内蔵・・・・・なんて考えたくありませんね。
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